【アートでナイス】アートがナイスな銀座の午後に深呼吸1 荒木経惟・舟越桂「至上ノ愛像」

すごく心が乾いていた。

水が欲しいのではない。

空気が、たっぷりの空気が欲しかった。

いわゆる新鮮な空気がほしいのではない。

誰かが生み出した空気が欲しかった。

ということで、平日の午後の銀座に赴く。

ひとつだけ知り合いの展示を観るという目的があったが、

あとは流れるままに。

いろんな展示情報の記憶を頼りに、でも新たに調べることもなく

出会いを求めてぶらっと歩いてみた。

まず、訪れたのは、「高橋コレクション日比谷」。

荒木経惟・舟越桂「至上ノ愛像」。

荒木経惟・舟越桂「至上ノ愛像」

アラーキーも舟越桂も、どちらの作品も以前より自分の好みにかなり上位にあるが

二人の作品が並ぶことは想像したことがなかった。

しかも今回は、アラーキーが舟越桂へのオマージュとして

「至上ノ愛像」とタイトルをつけ、

さらに自らの筆でしたためてもいる。

それによって、二つの別な世界が、どこかでつながっているようにも思える。

アラーキーの作品の中でも特に好きな「少女フレンド」が、すぐにある。

モノクロの少女が、会場全体を見渡しているようだ。

その瞳にすべてを包んでしまうように。

その先には、舟越桂の「遠い手のスフィンクス」と「言葉を聞く山」。

「言葉を聞く山」の木彫の半身像の両の肩には、家屋や山が。

像全体が、人であるのに、山に見えてくる。

そしてその大理石の瞳には、

アラーキーの熊本ララバイの「母子像」。

2007年以降に生まれた赤ちゃんとその母親を熊本で撮影したものだという。

表情がとてもいい。

世界には、こんな歓びが日々新しく生まれているかと思うと、

嬉しくなっている。

至上ノ愛像の案内状

至上ノ愛像の案内状

それぞれの作品を別々に観るとはまた違った味わいに満ちた展示だった。

深呼吸したいと望んでいた空気が新たに生まれ

満ち溢れる空間だった。

分け入ってみると、

森に伸びるクスノキ、

どこかで湧き出る水、

そんなことが感じられる昼下がり。

なんとナイスな銀座の午後。

力をもらって、次へと進む。

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