青山のワタリウム美術館でやっている「アロイーズ展」へ行く。
46年間の入院生活の中で、自らの精神世界を描き続けた女性、アロイーズ・コルバスの展覧会だ。
アロイーズにとっての「現実」が、赤やピンクや緑といったはっきりとした色で、
歴史上の人物や、さまざまな花などを象徴的に描いている。
その世界に思わず引き込まれる。
展覧会情報はこちら。
画家デュビュッフェが「アール・ブリュット(生の芸術)」と名付け、
世に知らしめようとしたのも、分かる。
1993年、世田谷美術館で開催されていた「パラレル・ヴィジョン 20世紀美術とアウトサイダーアート」で
ヘンリー・ダーガーの絵に衝撃を受けて以来、
時折開かれる、「アール・ブリュット」関連のアートに、心をつかまれる。
ニューヨークで、無料デーということ訪れた、アメリカンフォークアートミュージアム(MOMAのすぐ隣)でも、
偶然そんな作品に出会った。
マルティン・ラミレス
このときは、名前すら知らなかったラミレス。
でも、ヘンリー・ダーガーが常設(?)してあるミュージアムだけあり、
自然とその世界に入り込め、
そして抜けられなくなった。
メキシコ生まれのラミレスもまた、アメリカでの30年間の入院生活の中、描き続けたのだという。
そこに何を込めて描いたのは分からないが
それを描かざるを得なかった気持ちは、絵の中に詰まっている。
「アール・ブリュット」あるいは「アウトサイダーアート」など
分類はされてしまうものの、画家本人にそんな意識があったわけではもちろんない。
理解しようとする結果のことだ。
こうして記憶を結びつけ、その間の意識の流れを
たどってみるのも、いいものだ。
まあたまにしかできないけど。
無垢なる創造力、ナイス!