以前、名刺の相談に伺った大田区鵜の木にある「オールライト工房」。
活版印刷を愛し、新しい風をふきこんでいる方々。
そして、「金羊社」というCDジャケットなどへの特殊印刷に最新技術をもちこんで、
印刷の新しい可能性をつねに見いだしている方々。
そんな両者が「印刷のいろは」展を実施するというので足を運んでみた。
そのなかでは、最新の大判インクジェットプリンターのデモが。
これは、お土産にもらったタイル。
速乾性があり、厚さ四センチまでのものになら、何でも印刷できるとのことで、
観光地の看板に、写真を印刷したりもしているとか。
さらには、フレキソ印刷という、最新の印刷機の見学もさせてもらう。
でも、やはり目がいくのは活版印刷。
ちょっとだけ印刷機にもさわらせてもらい、体験も。
実際にこの「は」の字を印刷機でガシャリ。
機械なんだけれど「手工業」で、よいものを生み出すには熟練の技術も必要だと感じる。
そして、映像スペースでは、オールライト工房の「オ」という活字ができるまでや、
「いろは展」の「は」の字を亜鉛板で作る過程なども、
「オの旅」「はの旅」として人情味溢れる映像と音楽で紹介。
これが、その苦労と熟練の技が伝わってきて実に良かった。
この活字がずらりと並んだ様子やインクの匂いは、
高校生時代に印刷所に泊まり込んで新聞をつくっていたことを
まざまざと思い出せてくれる。
あの時はまだ、職人さんが活字を組んで、印刷していた。
文章を大幅になおして、えらく怒られてしまったのも当然のことだ。
といっても、三十年も前のことではない。
技術の進歩に思いを馳せると同時に、
大切なことを、行動としてどう守るか、
「もの」としてどう残すか、
何よりも、自分にとって、どう大切なのかだ。
そんな話を別な場所でしていたら、
とある方の会社に「活字」がやまほど、あるとのこと。
こんな出会いを大切にしない訳にはいかないだろう。
自分を活字が呼んでいる。
活字への思い、いろんな人の思い、ナイス!