一見、何の変哲もない象だけど、実はお腹の中に住めるようになっている。
ワンルームでユニットバス、ロフト付き、冷暖房完備で家賃は5万円と格安だ。
ただ、欠点は、朝起きたら知らない所に行ってる事が、ママ、ある事だ。
知ってる所なら、そこから学校なり会社なり遊びなりに行けるが、知らないと所だと、交番なり駅を探すしかない、そこから学校なり会社なり遊びなりに行く事になる。
でも、海を渡る事はないから、日本国内から出る事はないので安心して欲しい。
ただ、定期券を買っても余分な電車賃を払う事になる。
実は、朝、知らない所で起きるのは、さほど問題ではない。
一番困るのは、学校なり会社なり遊びなりから帰って来たら、メゾン・ド・ゾウがなくなってる事だ。
昼間のうちに移動してしまったのである。
だから、貴重品はメゾン・ド・ゾウに置いておかない方がいい。
いちいち持ち歩くのが面倒だったら、荷物用の部屋を借りるのも手だ。
なお、警察に「家が、まるまる、なくなりました」と言っても、あまり相手にしてくれないと思う。
後日、たまに、道でメゾン・ド・ゾウを発見する事もあるが、すでに別の人が住んでたりする。
そこで、メゾン・ド・ゾウに「オイ!!おまえ、何で勝手に、どっかに行くんだ!家賃を返せ!」
とか言っても、
「なに言うてんねん!何でワシが他人のオマエの都合に合わせて行動せなアカンねん!ワシはワシの好きなように生きるで!それに、何が象の、お腹の中に住むじゃ!おまえはエエ歳して不思議チャンか!なに、メルヘンな事言うてんねん!寝言をほざくな!ボケ!!」と言われて、ぐうの音も出ないと思う。
その7 天丼くん